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小説

『威光』

「将校を生け捕りにしました」
「でかした。タバコや食い物で籠絡して首里の機密情報を聞き出すのだ」
米兵はタバコと食い物でもてなしたが・・・
「ワッハッハ。敵をもてなすとは、さては私の威光に恐れをなしたな」
と将校はふんぞり返って、机に両足を置き、タバコを吹かしながら、おのれの武勇伝をえんえんと喋り散らすのであった。



『事大主義』

「兵卒を生け捕りにしました」
「でかした。首里の情報を聞き出すのだ」
米兵は聞き出そうとしたが、兵卒は・・
「えへへへ旦那。素敵なお召し物ですねぇ。靴もピカピカで。男ぶりもずいぶんなもので。洞窟内も掃除がよく行き届いておりますし。米軍万歳です。あっし、一生旦那方に付いていきまさぁ。えへへへへ」
何を聴いても下らないお世辞しか言わないのであった。



『防衛隊員』

「防衛隊員を生け捕りにしました」
「防衛隊員と言えば沖縄人だ。日本兵に虐げられて恨みを持っていることだろう。ベラベラ情報をしゃべるに違いない。今度こそ首里の情報が聞きだせるはず…」
しかし防衛隊員は・・・
「一つの情報につきいくらまで出せますかねぇ? ひひひ…」
金を出さないと一言も話さないと言い張るのだった。
「日本軍にはまともな奴はいないのか!」



   『ブッチョウヅラ』

   その町役場はオンボロで小さかったが、役人は全員自分たちを「霞が関の役人よりもデカい存在なんだぞ」と思っていた。
   役人らは、いばって、3回話しかけないと、返事をしてくれなかった。
   課長クラスになると、6回呼ばないと、返事をしてくれないのだった。
   そして町長ともなると、数十回呼ばないと、返事をしないのであった。
   そんなある日、建物がグラッと揺れた。
   「町長! 地震です! 早く出ましょう!」
   「……」
   町長は仕事をサボって酒を飲み酔っていたので地震に気付いていなかった。しかも数十回呼ばないと返事をしない性格なので、部下に肩を叩かれても動じずに、尊大なブッチョウヅラをして腕を組み、椅子の上でふんぞり返っていた。
   「…しかたない、もう逃げよう!」
   役場は倒壊した。
   全員無事だったが、町長は死んだ。
   町人は感動した。
   「転覆した船の乗客を最後まで見守る船長のごとく、町長は立派に務めを果たし、誇り高い殉職を遂げたのだ!」
   「男の中の男! まさに日本男児だ!」
   「ラスト・サムライ!」
   町長の最後のブッチョウヅラは、部下と町民を想う威厳ある顔として語り継がれ、あちこちに銅像が建てられた。



『教え子よ』

ついに戦争が始まった。
「教え子を再び戦場に送るな」と運動をしていた教え子思いの日教組は、泣きながら教え子らに「絶対に生きて返って来い」と教えた。
教え子らはその期待にこたえて自分が生き延びるために敵をたくさん殺した。



『物資の欠乏』

「武器がありません」
「竹ヤリを持ってこい」
「竹ヤリすらありません」
「サトウキビを持ってこい」
ーーーーーー
「サトウキビ部隊、突撃ー!」
手に手にサトウキビを持った部隊が突撃する。
米兵はびっくりした。
「日本人が狂った」
「こわっ」
「逃げろー」
米兵は逃げて行った。
この戦いを後に〈シュガーケーンの戦い〉と呼ぶ。



『召集』

若者たちに召集令が下った。
役所の通知に、こんなことが書かれてあった。
【本は3冊までの携行を許可する。ただし漫画とラノベは例外とする。ゲームもスマホも禁止とする】
「なにー?」
「許さん!」
若者たちは反戦運動をやった。政権が転覆した。



『真空地帯』

上官が怒った。
「お前たち! こともあろうに兵営に漫画を持ち込むとは! しかもなんだこの漫画の内容は? 萌え漫画ばっかりじゃないか。男らしくもない」
「あのぅ…では何を読めば?」
「私のように、こういうタメになる本を読みなさい」
上官がドヤ顔でかざした本は『サルでも分かる実戦術』だった。
若者たちはささやいた。
「この戦争は敗けだな…」



『海兵隊犯罪よくばりセット』

本国へ帰隊するまえに沖縄で犯罪をやろうと、3人の海兵隊員が相談していた。
「まず強姦は3件くらいやりたい」
「いや、6件はやろう」
「強盗は3件くらいだな。金がタンマリほしい」
ヘッヘッヘと3人は笑った。でもその表情はすぐに曇った。
「そうなると、案外難しそうだな」
「風俗店を襲えば? 金がタンマリあるだろうし、女たちも沢山いるし。1箇所で強姦と強盗、ぜんぶ済ませられるぜ」
「強姦ってのは素人を襲ってこそ楽しいんだが…まあ、妥協するか」
こうして3人は風俗店を襲ったのだが…
屈強な男たちに、たちまち包囲された。
ヤクザだった。
3人は拷問のよくばりセットを味わった。



   『アメリカの警察犬』

   ハリーという警察犬は、ある日行方不明になってしまいました。
   相棒の刑事はハリーの死を悲しみました。
   でもハリーは生きていて、何年もかけて刑事を探していました。
   「ご主人様待っていて下さい。必ず会いに行きますから。…ハッ! この匂いは…!」
   走って行くと、刑事は元気そうに住宅街をパトロールしていました。
   ハリーは飛び付きました。
   刑事はびっくりです。ハリーは汚れていて、まるで汚い野良犬に見えたからです。
   「ご主人様。僕です! ハリーです!」
   刑事は撃ちました。
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