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『浮雲』雑感

【昇が磬折という風に腰を屈めて、其処に鵠立でいた洋装紳士の背に向ッて荐りに礼拝していた。されども紳士は一向心附かぬ容子で、尚お彼方を向いて鵠立でいたが、再三再四虚辞儀をさしてから、漸くにムシャクシャと頬鬚の生弘ッた気むずかしい貌を此方へ振向けて、昇の貌を眺め、莞然ともせず帽子も被ッたままで唯鷹揚に点頭する…】

   この描写を読んでハッとしました。自分の学生時代に、呼ばれてもわざとムッツリした尊大な顔で無視を決め込んで、三回呼ばれてからようやくこっちの顔も見ずに「うん」と返事する先生が何人か居ました。この経験は面白いと思っていつか小説に書いてみようと思っていましたが、すでに四迷に描かれていました。四迷はとにかく人物をよく観察しています。昇のような小物の俗物の心理も分かるし、課長のような大物の俗物の心理も分かれば、お勢のようなミーハーな「おちゃっぴい」の心理も分かっています。そのうえ文三という俗物とは程遠い正義感の塊のような青年の心理もよく分かっています。
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