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二葉亭四迷『浮雲』感想

【この課長殿というお方は、曾て西欧の水を飲まれた事のあるだけに「殿様風」という事がキツイお嫌いと見えて、常に口を極めて御同僚方の尊大の風を御誹謗遊ばすが、御自分は評判の気むずかし屋で、御意に叶わぬとなると瑣細の事にまで眼を剥出して御立腹遊ばす、言わば自由主義の圧制家という御方】

   この課長の人物像も面白い。かつて洋行していた課長は西欧の空気に半端にかぶれているせいで、同僚の殿様風を半端に誹謗し、そして自分も殿様風な性質を所有している。もしも真剣に西欧の自由主義を学び真剣に自由主義を実践していたのならば、課長は同僚の殿様風を陰で誹謗するのではなく堂々と批判して役所の改革を行っていたに違いない。そして自己の殿様風も厳しく自己批判し克服していただろう。課長は、お勢、お政、昇らと同様、半端者だったから、西欧から半端なことしか学ぶことができなかったのである。課長にとって西欧は自己を西欧流の自由主義者風に装飾する道具でしかなかった。日本には課長、お勢、お政、昇のような軽薄な人間が多数を占めており文三のような真面目な人間は少数派である。
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