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小説

※バカバカしいです。
『魔法のペン』

   男が金色のペンを拾った。
   妖しい輝きを放つペンで、インクも妖しい翳りのある金色だった。
   「願いの叶う魔法のペンだったりして」
   そこでムカつく同僚の写真の上にペンで〈死ね〉と書いてみた。すると同僚は突然死した。
   びっくりした男は、今度は上司の写真に〈トラックに轢かれて死ね〉と書いた。上司はトラックに轢かれて死んだ。
   「やったぞ。これは正真正銘魔法のペンだ」
   男は片っ端からムカつく奴をありとあらゆる方法で殺していった。
   「全員殺した。もう満足だ。さて、今度は建設的なことに使うとしよう」
   男は新垣結衣の水着の写真集を取り出した。「おれとやれ」と書こうとしたが、間違って「おれをやれ」と書いてしまった。新垣結衣の持っている水鉄砲が男の頭を撃ち抜いた。



『腐敗』

男がドローンに爆弾を付けて飛ばした。霞ヶ関のほうへ飛んでいく。
「数百万円もした殺傷力の高い爆弾だ。へへへ。ブラック企業を擁護する腐った与党の政治家どもめ。思い知れ」
しかし爆発音はしなかった。不発だったのだ。男は悄然として帰路についた。
翌朝、テレビが速報を伝えた。
「共産党の末端の党員が拾った爆弾を暴力団関係者に売り渡して逮捕されました。党員は『党にこき使われるだけこき使われて、ろくに給料を貰えず、一日一食豆腐しか食べれない日が続いており生活の為に転売した』と供述しています」



『願いごと』

神様が現れて言った。
「一人につき一個だけ願いを叶えてあげます」
世界中の人がワクワクしながら願いごとを考えた。
「わたし犬がほしい」
「おれは金がほしい」
「ぼくは家がほしい」
「ワシは家族が一生健康でいてほしい」
世界中が楽しい願いごとをした。
しかし日本人は、
「同僚を殺してほしい」
「旦那を殺してほしい」
「ムカつく先輩を殺してほしい」
「クラスのやつらを皆殺しにしてほしい」
と、互いの死を願った。
願いごとが叶う日がやって来て、世界中の人が幸せになったが、日本人は絶滅した。



   『日本的な、あまりに日本的な』

   高校生の妹は恐ろしいほど頭が悪かった。
   そこで科学者の私はIQがアップする薬を開発した。
   一粒飲ませたら、みるみる頭がよくなって、これまでの知的欠乏を補うかのように読書に没頭した。
   「なにを読んでいるんだ」
   と、聴いたら、『朝鮮崩壊』というヘイト本を読んでいた。
   「せっかくIQがアップしたのに、なにも、そんな本を読まなくても…」
   「うるさい、黙れ」妹は怒った。「殺すぞ。お前チョンか? あ?」
   「…」私は妹の変貌に恐怖を抱いた。
   妹はやがて自分でもヘイト本を執筆した。
   『さあ! 21世紀のいまだからこそ、すべてのマイノリティと反日を殺そうではないか? 根絶やしにしてやろうではないか!』という過激なタイトルで、在日・アイヌ・沖縄・部落・身体障害者など、あらゆるマイノリティの殺害を理論的に肯定しようと試みたこの本は、あっという間にベストセラーになり、この本の影響で本当にマイノリティを殺害しようとするヤカラが出たほどだった。しかし世間は妹の本を非難するどころか持てはやした。「こんなすごい論客が女子高生に居るのか!」と特に右翼の間で評判となった。
   大学生になると同時に妹はテレビに出演してヘイトを振りまくようになった。右翼に担ぎ上げられて「ポスト櫻井よしこ」と呼ばれるまでになった。
   私は泣いた。「あんな薬作らなければ良かった。いくら知恵が付いたって、根っこの人間性が下劣だったら何にもならない」
   激情のおもむくままに、薬を庭に投げ捨てた。
   すると翌日、庭で飼っている秋田犬のポチが二足歩行していた。おそらく薬を食べたのだろう。そして私にこう言った。
   「おれを誰だと思ってんねん? カリスマやぞ? 帝王やぞ? 世界の秋田犬やぞ? 早うオヤツのビーフジャーキー持って来んかい! おれをもてなさんかい! このガキ! アゴ潰してまうで! こらボケぇ!」 
   私は言った。
   「どいつもこいつも……日本はダメだ」



『クリスマスの夜』

男がオウムに話をしている。
「いいか? ここから飛んで行って、向かいの豪邸の子供部屋に窓から入って行くんだよ? 幼稚園児の女の子がいるから、こう言うんだ。『サンタさんはお前のお父さんなんだよ』って」
「ハイ、了解シマシタ」
「よし、行け」
オウムは飛んで行った(よく訓練されたオウムなのだ)。
「ヒヒヒ。金持ちの子供の夢をブチ壊し! ああ愉快なクリスマスだ」
オウムが帰ってきた。
「女ノ子カラ伝言デス、伝言デス!」
「伝言?」
「『オイ、オッサン。クリスマスノ夜ニ何ヤッテンダヨ。イイ歳コイテ、無職デ、親ト同居シテ、オンボロアパートニ住ンデ、親ノ金デパチンコバッカシテ、イツモダッセェカッコシヤガッテ。近所中デ笑イ物ニサレテルゾ。ドウセ彼女モ友達モイナインダロ? モウ自殺シロヨクソ野郎』」



『海辺にて』

「何の騒ぎか~?」
「あ! オバア! 観光客が溺れてるよ! 助けに行かないと!」
「待て、マサシ! 行かんでいい! ナイチャーなんか死なせておけ! ふんっ!」
「そんなあ、オバアよぉ……。あ! オバア! あの人よくみると大企業の×××社長だよ」
オバアは全速力で海へ走っていく。
「シャチョー様ァ!!」と叫びながら。



『海辺にて2』

「オバア! また人が溺れてるよ!」
「またナイチャーの社長やしが?」
「いや、どうだろう…。曇ってて暗くて見えない」
「じゃ、ほっとけ」
「でも、もしナイチャーだったら? ナイチャーって金持ちだから、また謝礼貰えるはずよー」
「…」
「行かせてよオバア?」
「マサシ…」
「止めるつもりか? おれは行くよ」
「…ウチナーンチュだったら助けなくてもいいから」
「いい加減にしろよババア」



『パパホテル』

20××年。パパホテルが集団自決を否定する本を客室に置いて物議を醸した。
沖縄県民は怒ってパパホテルを利用しなくなった。

20××年。パパホテルがベイビューホテル事件を否定する本を置いて物議を醸した。
沖縄県民は普通に利用した。



   『重役』

   「ハロウィンに子供たちがお菓子を買ってくれるから我が社は安泰だ。子供たちは沖縄の宝だなぁ」
   ピンポーンと玄関から音がした。
   開けると子供たちが立っていた。
   「トリックオアトリート!」
   「うるさい! 貧乏人の小セガレども! おれを誰だと思ってんだ。○○製菓の重役だぞ! うちの家の敷居くぐろうなんざ100万年早いわ! 帰れ!!!」
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テーマ : オリジナル小説
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ブログタイトルは夏目漱石の「黙々として牛の如くせよ」から。

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