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『こころ』先生の立ち小便の意味

『こころ』の先生は、叔父の裏切りの社会的意義を理解している。と同時に、叔父の裏切りに経験的憎悪を抱いている。思想的理解と経験的憎悪という二つの意識を持っている。
「私」は、叔父の裏切りについて、先生がこの二つの意識を持っていることをまだ知らないから、先生の経験的憎悪だけを指摘した。しかし【私はそれを手応えのあったようにも思った。また的が外れたようにも感じた】。手応えは半分だけだった。あとの半分は私にはまだ理解できない。理解できないながらも感覚的に捉える事が出来ているだけでも凄いし、その後で【仕方がないから後は言わない事にした】と言って、余計な解釈を入れない所も本当に凄い。

叔父の裏切りには社会的な背景があり簡単に説明できるものではない。だから先生は「私」に『人間はいざという間際に悪人になるんだ』の意味を教えようとしない。話の途中で犬や子供が邪魔をしたり、先生が立ち小便をするのは、説明が難しいからわざと漱石はそうやって話を中断させている。散歩の途中に気軽に語って聴かせるほど簡単なものではないのである。人間の心変わりの原因は、漱石が『猫』から『行人』までの全ての作品を執筆して得た成果である。『猫』から『行人』を丁寧に辿っていかないと理解はできない。
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テーマ : 夏目漱石
ジャンル : 小説・文学

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ブログタイトルは夏目漱石の「黙々として牛の如くせよ」から。

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